デイビッド・モ イーズ監督の解任が決定し、暫定的にライアン・ギグスが指揮を執ることとなったマンチェスター・ユナイテッド。内容に乏しいサッカーで、タイトルをひとつ も獲れず、さらに来シーズンのチャンピオンズ・リーグ(CL)出場権すら取り逃がしたのだから、それも仕方がないだろう(この時期の人事には疑問符も付か ないこともないが……)。
ユナイテッドのCL連続出場は18で止まった。90年代に始まったクラブの栄光の時代を語るうえで、CLでの勇姿を忘れることは絶対にできない。「バス ビー・ベイブス」による初欧州制覇から31年後の1999年、歴史に残る「カンプ・ノウの奇跡」で2個目のビッグイヤー(優勝トロフィー)を獲得し、 2008年にもチェルシーとの英国対決をPK戦の末に制した。それ以外にも語りつくせないほど多くの伝説を、「赤い悪魔」はこの欧州最高の舞台で創り上げ てきたのである。
18年間出場し続けたということは、前回出場権を逃したのは19年前のこと。それは劇的な最終節を経ての“失望”だった。
94‐95シーズン、ユナイテッドはブラックバーン・ローバーズとマッチレースを展開していた。そして最終節を迎えた時点で、首位ブラックバーンとユナ イテッドの勝点差はわずか2。最終節の相手は、ブラックバーンがリバプール、ユナイテッドはウェストハム。ともにアウェーでの対戦だった。
ユナイテッドは勝利が絶対条件。そのうえでブラックバーンが引き分け以下であれば(得失点差でユナイテッドが上回っていた)、逆転優勝が転がり込む。し かし前半、ブラックバーンがアラン・シアラーのゴールで先制したのに対し、ユナイテッドは先制を許してしまう。栄光は大きく遠のいたが、後半に入ると状況 は一変。ユナイテッドがブライアン・マクレアのヘッドが決まると、間もなくブラックバーンが同点に追いつかれたのだ。
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ギグスが暫定監督に。これが赤い悪魔の新たな黄金時代の幕開けとなるか。 (C) Getty Images |
ユナイテッドはあと1点取れば、奇跡の逆転優勝に大きく前進する。
勢いを得た「赤い悪魔」は猛攻を仕掛けたが、ここで立ちはだかったのがウェストハムのGK、ルデク・ミクロスコ。ユナイテッドは、アンディ・コールが、リー・シャープが、マーク・ヒューズが、次々にゴールに迫るが、ミクロスコの牙城が最後まで崩れることはなかった。
結局、あと1点が奪えず、悲嘆の涙に暮れたユナイテッドの選手たち。ブラックバーンが逆転負けしたことが、かえってユナイテッドの悔しさと喪失感を倍増させたのだった。
当時はまだ、リーグ優勝クラブのみに与えられていたCLの権利は、ライバルの手に渡ったが、当然ながらユナイテッドの悲しみは、プレミアリーグの盟主の座を失ったことによるものだった。
その後、CLは段階を経て出場枠が拡大していったことで、隆盛を極めるユナイテッドにとって、出場自体はさほど難しいものではなくなっていたが、偉大な記録は18年目の今シーズン、ついに途絶えた。ここからも、今のユナイテッドの凋落ぶりがうかがえるだろう。
現時点でCL最多出場(151試合)を記録しているギグスを暫定監督に、残りシーズンを戦うユナイテッド。ここから立て直し、2年後に再びCLの舞台に赤い悪魔が戻ってくるのか、注目である。
勢いを得た「赤い悪魔」は猛攻を仕掛けたが、ここで立ちはだかったのがウェストハムのGK、ルデク・ミクロスコ。ユナイテッドは、アンディ・コールが、リー・シャープが、マーク・ヒューズが、次々にゴールに迫るが、ミクロスコの牙城が最後まで崩れることはなかった。
結局、あと1点が奪えず、悲嘆の涙に暮れたユナイテッドの選手たち。ブラックバーンが逆転負けしたことが、かえってユナイテッドの悔しさと喪失感を倍増させたのだった。
当時はまだ、リーグ優勝クラブのみに与えられていたCLの権利は、ライバルの手に渡ったが、当然ながらユナイテッドの悲しみは、プレミアリーグの盟主の座を失ったことによるものだった。
その後、CLは段階を経て出場枠が拡大していったことで、隆盛を極めるユナイテッドにとって、出場自体はさほど難しいものではなくなっていたが、偉大な記録は18年目の今シーズン、ついに途絶えた。ここからも、今のユナイテッドの凋落ぶりがうかがえるだろう。
現時点でCL最多出場(151試合)を記録しているギグスを暫定監督に、残りシーズンを戦うユナイテッド。ここから立て直し、2年後に再びCLの舞台に赤い悪魔が戻ってくるのか、注目である。